テレワーク・リモートワークの実状ー成功させるためのカギは?

テレワークの導入率は2017年には20%にも達していませんでした。今では半数を超える企業がテレワークを導入しています。コロナの影響でテレワークを検討、導入するに至った企業も多くあります。しかし、これまでとは違う勤務体制に難しさを覚えている管理職の人も多いかもしれません。テレワークを実際に導入している企業はどういう工夫をしているのでしょうか。

テレワーク導入のメリット・デメリット

テレワーク導入は3つの点でメリットがあるとされています。それは社会、企業、就業者へのメリットです。社会へのメリットは労働人口の確保です。テレワークにより働き方が多様化し、今までは働けなかった人も働けるようになりました。働く人が増えることは地域活性化にもつながります。企業へのメリットは人材の確保です。テレワークにより自分の家で仕事ができるようになったので、育児や介護による離職のリスクが減ります。また、ペーパーレス化などによるコストの削減、生産性の向上化も期待できます。就業者にもメリットがあります。通勤時間が減り、自分や家族との時間が増えることです。オフィスワークからテレワークに移行した人の中には、ストレスが減り作業パフォーマンスが上がったという人もいます。

テレワーク導入によるデメリットは、自己管理の難しさです。周りに人がいればやる気を起こしたり仕事に関する相談がすぐにできますが、テレワークだと、どの仕事をどの程度進めていくかをある程度自分で考えて進めていかなければなりません。企業側も労働者の勤務状況を把握するのが難しくなっています。そのため、労働管理の方法とルールをしっかりと明確化しておくことが必要になります。自宅で仕事をすることにより、集中力が低下するといった問題もあります。Web会議・ミーティングなどでは通信環境の差によりトラブルが起こったり、子どもなど家族の話し声などでWeb会議が中断すると、自分も周りも気が散らされてしまいます。

テレワークを導入している会社の労務管理の実状と対策

時間外労働や労務管理の問題に対して、企業はどのような対策をしているのでしょうか。時間外労働に関しては、勤務先に申告しない人、申告しても会社から認められない人がいるといった問題があります。これには、申告しやすい会社の雰囲気作りが重要になります。テレワークの労働ルールをきちんと決めておくことも含まれています。企業によってはアプリを使って労働管理ができるようにしているところや、長時間労働をさせないために自動的にシャットダウンするシステムを取り入れているところもあるようです。総務省から「テレワークにおける労働管理のためのガイドライン」が出ていますから、それを参考にすることもできるでしょう。

人事評価に関しても難しさを抱えている企業は多いようです。成果を出すまでの過程が見えないことから、プロセス評価から成果主義へときっぱり変更している企業もあります。その場合は、皆が成果を出しやすいように人材育成に力を入れることによって、評価されないというストレスを抱えないよう工夫をしています。それとは全く逆の評価を取り入れている企業もあります。そもそも人事評価を廃止するという方針です。その代わり、会社や仕事に関する価値観を社員全員で共有することに重きをおきます。一人一人の成果というよりは、一つの会社として成果を上げるということを目標にしていきます。人事評価をどう工夫していくかは企業の規模や企業理念によってかなり差が出てくるでしょう。

テレワークを導入していない企業

半数以上がテレワークを導入するようになったとはいえ、残りの半数の企業はテレワークの導入には至っていません。一つの理由はテレワークを導入できない職種であるということです。テレワークを導入していない企業のうち7割が職種を理由に挙げています。確かに、介護職や接客などのサービス業は人がいてこその仕事ですから、テレワーク導入を断念するのは仕方がありません。もう一つの理由には情報不足という点があるでしょう。労働管理の仕方やコスト、情報漏洩の対策など、テレワークに対する知識が浸透していないので、デメリットだけに目が向いてしまい、消極的になってしまっている可能性があります。テレワークが推奨されている今は、専門家が無料で相談に乗ってくれるところもあります。ガイドラインに従ってテレワークを導入すれば、テレワーク導入のための費用が助成されることもあります。正しい知識や周りからの助けがあればテレワーク導入にも踏み込みやすいかもしれません。

テレワーク導入への第一歩

テレワーク導入には知識と準備が必要です。テレワークを導入している企業は確実に増えていっているので、必要な情報は得やすくなっているでしょう。確かな情報源は総務省や厚生労働省です。ビジネスには変化がつきものです。ネガティブな情報ではなくポジティブな情報を集めて、テレワーク導入ができる職種であれば検討の余地はあるかもしれません。

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