3/1に新卒採用が解禁になり、2ヶ月が経ちました。
ここで、この2ヶ月間の2020年卒の新卒マーケットの動きをまとめてみました。
2020年卒は、調査開始以来過去最高の「売り手市場」
全国の民間企業の求人総数は、前年の75.5万人から81.4万人へと5.8万人増加(対前年比+7.7%)している一方、学生の民間企業就職希望者数は、前年とほぼ同水準の43.2万人(対前年比+2.1%)。求人に対して38.1万人の人材不足となっております。
その結果、大卒求人倍率は1.88倍と、前年の1.78倍より0.10ポイント上昇しております。
規模や業種別の差が大きい「売り手市場」に潜む落とし穴
この求人倍率を細かく見ていくと、意外なことが発見できました。
従業員規模別にみていくと、が5000人以上の大企業の求人倍率は0.37倍にすぎず、しかも前年の0.39倍からむしろ0.02ポイント低下している。1人の採用枠に3人の学生が応募しているわけです。
一方、300人未満の企業(中小企業)ではむしろ9.91倍と、前年の6.45倍から3.46ポイントも上昇して過去最高となった。
1人の学生に対し、10社の求人がある計算だ。
業種別の差も大きい。人手不足が深刻になっている流通業の求人倍率は12.57倍と、前年の11.32倍より1.25ポイント上昇。建設業の求人倍率も9.55倍と、前年の9.41倍より0.14ポイント上昇している。
その一方、金融業は0.21倍、サービス・情報業は0.45倍にすぎない。
企業規模や業種による求人倍率の差がこれだけ大きいと、決して「売り手市場」で学生優位と言えるような状況ではない。
マイナビ「2019年卒大学生就職意識調査」
同調査によると、就職にあたっての就職観として最も多いのは、「楽しく働きたい」で、33.3%。2001年から1位を続けている。
次いで多いのが「個人の生活と仕事を両立させたい」で24.2%。こちらも19年間2位のままだ。
一方、以前と比べ、「人のためになる仕事をしたい」(15.0%)と「自分の夢のために働きたい」(11.6%)が逆転してきているのは特徴的だ。東日本大震災以降、社会貢献に対する関心の高まりが垣間見える。
「どのような企業が良いと思うか?」という質問に対し、最も多かったのは「自分のやりたい仕事(職種)ができる会社」(38.1%)だが、年々、その割合は下がってきている。
替わって、増えてきているのが「安定している会社」(33.0%)。いまのままなら、いずれトップになりそうな勢いだ。
過去30年間の学生の就職感の変化
平成元年入社組と平成30年入社組に対しておこなったアンケートからこの30年間の変化です。
「新卒で最初の会社に入社した決め手は」という質問平成元年入社組の上位3つ
(1)やりがい29.8%
(2)勤務地23.6%
(3)給料15.1%
平成30年入社組の上位3つ
(1)給料23.6%
(2)勤務地20.5%
(3)やりがい20.2%
平成の30年間で新社会人にとっての仕事の魅力がやりがいから給料に変わり、仕事観がより『リアル志向』になっているのではないか」と分析できます。
「新卒入社時に何年間、その会社で働こうと考えていたか」との質問。
元年入社組はやはり「定年まで」と答えた人の割合が最も多く、38%。
一方、30年入社組は「3年以内」と答えた人の割合が最も多く、27.9%。
働き方が変わり、終身雇用の時代から転職が当たり前の時代に変わっていることが調査結果にもあらわれています。
また、30年入社組に対して行ったアンケートでは、ブラック企業については、
8割の学生が調べています。
質問(1)「就職活動にあたってブラック企業を気にしていますか/しましたか」
「気にした/気にしている」
(今春卒)85.6%(来春卒)91.1%
質問(4)「どんな企業がブラック企業だと思うか」
2位:「給与が低すぎる企業」 (19卒)70.9%/(20卒)70.1%
3位:「残業が多い企業」 (19卒)65.3%/(20卒)67.9%
内定率について
4月1日の大学生(大学院生除く)の就職内定率は22.2%(+1.7ポイント)。インターンシップ経験有無別にみるとインターンシップ経験者(以下経
験者 )は 27.3% 。一 方で 、イ ンタ ーン シッ プ未 経 験者 (以 下未 経験 者 )で は13.7%となっています。
また、速報値ですが、5月1日現在で内定率が50%を超えたとの報告もでております。
前年同期実績(42.2%)と比較して、を8.9ポイントも上昇しております。また、就職活動終了者は全体の21.8%。前年(14.2%)を7.6ポイント上回っております。