マイナビによって実施された2020年の中途採用実態調査では、1月~7月の間に行われた中途採用について人事担当者に対するアンケート調査の結果がまとめられています。これに基づくと中途採用の現場にはどのような変化が起こってきたと考えられるのでしょうか。重要なポイントを押さえて、今後の人材採用に生かしていきましょう。
2020年の中途採用では大きな変化が発生
2020年の上半期における中途採用では大きな変化が生じました。中途採用業務に変化があったと回答している採用担当者が過半数を占めています。さらに中途採用のシステムも変わった時期なので、何が起こったのかを確認しておきましょう。
WEB面接が増加した
中途採用では対面での面接が主流でしたが、この時期には新型コロナウイルスの感染拡大の影響も受けてWEB面接が増加しました。2019年12月以前は対面による面接のみで行っていたのが75.0%を占めてしました。しかし、2020年4月~6月にかけては30%未満となり、代わりに15%以上の企業でWEB面接のみで選考を実施したという結果になっています。コロナ禍の影響を受けて4月以降は30%前後の企業で面接を実施していませんでしたが、対面の面接を併用していたケースも合わせると40%以上の企業がWEB面接を活用しています。
WEB面接への満足度はまちまちではあるものの、今後も利用する意向を示している企業が87.3%を占めていました。面接のWEB化を実施した企業の方が内定者満足度が高いことや、入社後と面接時のギャップについての好感度が高くなっています。この傾向から判断するとWEB面接の導入や継続が主流になっていくでしょう。
採用業務の変化では短縮が主流
調査結果によると中途採用業務の変化について素流だったのが時間や期間の短縮です。1期当たりの面接時間や内定を出すまでの期間を短くすることで採用業務負担の軽減や迅速な人材獲得を成功させています。また、業務負荷の軽減を考慮した変化も大きく、アウトソーシングを活用したり、AIツールによる書類選考の自動化を実施したりする例もよく見られています。新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言への対応のために、業務による三密の回避や接触時間の低減を図る努力が進められたこと示唆されている結果です。しかし、採用担当者としては応募者の対応業務に負担を感じている状況があり、採用業務はまだ改善の余地が残されています。
一方でこの期間に採用活動を積極化した企業では内定者とのコミュニケーションを増やしたケースも多く、自社に合う優秀な人材の獲得に精力的な動きもあったことが示唆されています。このような企業では面接時間を長くした場合もあるため、コロナ禍における中途採用の考え方には企業ごとに違いがあったことがわかります。
中途採用の実施に関する動向
マイナビでは中途採用実施に関する企業の意向や取り組みについての動向調査も行っています。中途採用について各社ではどのような考え方を持っていたのでしょうか。
業界による採用意向の違い
新型コロナウイルスの影響を受けて中途採用実施計画の変更が検討されていて、その動向が業界によって大きく異なっています。減らす方向で検討した代表格がメーカーで、14.8%が減らす意向を示していました。逆に医療や福祉、マスコミや公的機関のようにコロナ禍の影響を受けて人材不足に喘いでいる業界では中途採用を増やす方向で計画を修正しています。緊急事態宣言を受けて正社員の余剰感が高まる傾向はありましたが、正社員の不足を感じている割合が約半分を占めていて、中途採用市場が低迷したわけではないことも示唆されています。
中途採用での実施内容と内定者満足度
中途採用の際には履歴書や職務経歴書を取得して書類選考を実施するのが典型的になっています。公的機関では健康診断書や卒業証明書なども実施されていましたが、民間企業では実施内容はまちまちです。ただ、内定者満足度が高い企業では作文を課したり、リファレンスチェックを実施したりしていることが示されています。作文やリファレンスチェックは企業の風土とのマッチングや適材かどうかの確認に重要な意味を持つことから、積極的な実施によって質も量も十分な中途採用の実現ができると考えられるでしょう。
コロナ禍における中途採用は考え方を変化させた
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中途採用の実態には大きな変化があったことがマイナビの調査からわかります。業界によって人材の過多が大きく変わったことや、業務負担の軽減や接触時間の低減を考えた対応を余儀なくされたのが大きな違いです。結果的にWEB面接が広まり、その効果を実感している企業も増えています。今後の中途採用ではこのような経験を生かした仕組み作りが重要になります。