忘年会・新年会の実施状況は新型コロナウイルスの影響を受けてどう変わるのかが気になっている人も多いでしょう。12月・1月は飲食店やデパートなどの繁忙期になりますが、今年の実態はどうなっているのでしょうか。状況を理解して適切な対策や方針を立てることが重要なので、ここでは企業と飲食店の対応状況を紹介します。
コロナ禍の影響による忘年会・新年会の実施の減少
コロナ禍によって生まれた新しい生活様式への取り組みは外食に関する考え方を大きく変えています。どの企業でも忘年会・新年会のどちらか一方は開催して社員同士のコミュニケーションの機会を作るのが一般的でしたが、今年度は企業の9割が開催しないというのが実態です。社員にアンケートを取っても、感染リスクが怖いから忘年会・新年会に参加したくないという答えが多く、中止せざるを得ない状況になっている現場がほとんどです。
約1割は実施の方向で動いているとはいえ、社会的な考え方として大勢で密閉・密集・密接のをすることになる宴会は避けるべきというのが常識化してきています。万が一にもクラスター発生となってしまうとマスコミに取り上げられるリスクもあります。特に企業規模が大きいほどリスクを懸念している傾向があるのが現状です。社員同士での個人的な宴会も避けるように指示している企業もあることを考慮すると実施しにくいのは確かでしょう。そのため、企業としては自粛の方向に転換する傾向もあり、時期がさらに近づくとキャンセルが増える可能性も否定できません。
しかし、忘年会・新年会という慣習は日本では根強く、景気づけのためにも実施したいという声もあります。企業では忘年会・新年会を大々的に実施する代わりに、社内の会議室などで乾杯だけしたり、自宅からオンラインで忘年会・新年会を実施したりする方針も立てられています。Zoom飲みの流行に伴って企業でも取り入れるケースが増えてきました。忘年会・新年会でも同じようにして部署ごとに実施する予定を立てているケースがよく見られています。このような新しい忘年会・新年会の文化が生まれようとしている状況があるのは記憶に留めておくべきポイントでしょう。
忘年会・新年会への飲食店の混乱と対応状況
企業では忘年会・新年会の開催を自粛する傾向が生まれている状況がありますが、飲食店業界ではどのような対応を取っているのでしょうか。新型コロナウイルスの感染拡大に伴って緊急事態宣言が出された前後には、飲食店では来客がほとんどいなくなって大打撃を受けました。12月・1月の忘年会・新年会シーズンは飲食店の繁忙期で、この時期の売り上げが年間の業績に大きく響きます。緊急事態宣言からはほとぼりが冷め、飲食店でもソーシャルディスタンスを設けたり、換気設備に投資をして環境整備をしたりする対応により来店者が増えてきている状況があります。
しかし、忘年会・新年会については「忘年会の予約が全てキャンセルになった」「例年新年会を予約されている企業様からのキャンセルの連絡があった」などといった声が上がっています。やはり大きな宴会予約を取ることができないのが実態です。「少人数での予約がほとんど」という声もあり、会社の人たちというよりはむしろ個人での忘年会・新年会の予約ばかりになっています。そのため、「例年に比べると売り上げが見込めない」「例年通りにアルバイトを雇うと赤字になりそう」という声も多くなっているのが現状です。
一方で「今年は少人数の予約しか受け付けていない」「年末年始もお持ち帰り中心で営業する」といった方針を設けている飲食店も少なくありません。社会的に三密を避けるのが良しと考えられているので、少人数対応だけにする方針を立てるのはお客から喜ばれることにつながります。また、企業でもオンライン忘年会・新年会を予定しているケースが多いため、各家庭でちょっと贅沢な食事をしたいという声に応えられるようにお持ち帰りやデリバリーを中心にするのは合理的な対策でしょう。このようなコロナ禍における社会情勢と企業の動向に合わせた対応をすることで飲食店業界の本来の繁忙期が厳しくなっている現状も乗り越えられると考えられています。
忘年会・新年会事情を踏まえた対応が必要
コロナ禍の影響によって忘年会・新年会のあり方も大きく変化しようとしています。オンライン忘年会・新年会の開催や少人数化などを考慮した対応をしていくことにより、収益率の高い飲食店営業ができるようになると考えられるのが現状です。飲食店では今後の企業の動向もよく観察しながら適切な対応をしていくことが重要です。